朝霧を過ぎ本栖湖に入りいつものように湖畔で空模様を窺う、雲が厚い、目的地まではまだ一時間以上走る。
30分ほど時間をつぶしハンドルを握った。撮影ポイントに到着、誰もいないことに肩透かしをくう。
間もなく富士らしいシルエットが薄明の厚く黒い雲の筋間に浮かぶ、その光景がただならぬものである事をその時は知る由もなかった。
この朝、人知の及ばぬ大自然の未知の光景を目の当たりにすることになる。
手が震えフィルムがうまく交換できない、1分が永遠に思えた。
その光景の前に私はもはや粒子の濃淡と化し、宇宙の一元的広がりの中に溶け込んで行くようであった。